~地域リーダー養成のためのプログラムつくりのための3ステップ~

~地域リーダー養成のためのプログラムつくりのための3ステップ~

西芝雅美・飯迫八千代(著)

ポートランド市の部局で住民の巻き込みを図るための組織、Office of Neighborhood Involvement (ONI) では住民リーダーを養成し、多様な住民の参画を促進するために多文化共生と市民リーダシッププログラム(Diversity and Civic Leadership (DCL) program)を提供しています。(参考文献:こちら)このプログラム自体の紹介は別項で行いますが、今回はこのONIのプログラムを参考に住民や地域を導くリーダーを養成するためプログラムを作る際に必要なステップを3つにまとめて紹介します。

 

1.リーダーに必要な資質をKSAで整理する

リーダー養成プログラムを作る際にまず考えないといけないのは、リーダーに求められる資質は何かという点です。リーダーに求められる資質は状況によっても違う可能性があります。ですから、例えば、地域リーダーの養成を図ろうとする場合、地域リーダーに求められる

leadership dev 1資質を具体的に検討する必要があります。その際、リーダーの資質をK(Knowledge)、S (Skill),、A (Attitude)の3つのカテゴリーに分けて検討すると整理しやすくなります。K(Knowledge)は”知識・情報”、S(Skill)は”技能”、A(Attitude)は”心構え、気構え”です。このKSAはどのような地域・状況でも共通でリーダーに必要なものと、地域・状況によって比重などが変わるものとがあると思います。

たとえばポートランド市のONIが対象としている移民マイノリテイのリーダーの場合ですと、K のKnowledgeの中にその移民グループの文化的背景に関する知識が重要な要素として入ってくるでしょうし、Skillの中に英語以外の移民の人たちの言葉を話す技能が入ってくるでしょう。Attitudeとしてはその移民グループを良くしたい気持ちが大切です。

また、対象が、ネイバーフッド・アソシエーションと呼ばれる近隣組織のリーダーの場合は、Kの中にONIや行政プロセスの知識、Sにネイバーフッドの会合のファシリテーションをする技能、そして、Aは地域・ネイバーフッドを愛する気持ちなどが考えられます。

ですから、状況・対象によってこのKSAを整理してみると何が必要かよりはっきりしてきます。

 

2.まずAttitudeに火をつける・Attitudeをもっている人を発掘する。

こうして、状況ごとに違う要素は確かにあるのですが、どのリーダーにも共通して必要なのはAttitudeの部分です。このAttitudeには”何とかして状況を良くしたい!!”という熱意と、”やれば出来る!!”という積極性が含まれます。

leadership dev 2リーダー養成を図るときにまず手がけるべきは、この熱意に火をつけることと、”やれば出来る”という気持ちになってもらうことだと思います。

あるいは、こちらから火をつけなくても世の中にはこういったAttitudeをもっている人はすでにたくさんいると思うので、そういった人を見つけて発掘していくのもリーダー養成を図る側の重要な役割でしょう。

 

3.KnowledgeSkill の養成プログラムを組

こうして、Attitude に火をつけ、熱意を持っている人を発掘すれば、そうした人から手始めに必要なKnowledge 知識とSkill 技能を学んでもらいます。この部分はステップ1のKSAの整理がはっきりしていればどういうKとSの養成のためのプログラムを作ればいいか考えれleadership dev 3ばいいわけですから、比較的簡単です。

世の中のリーダーシップ養成プログラムを見ていますと、上記のステップ1とステップ2を踏まずに、いきなりステップ3から入ってしまっているのではないかと思われるプログラムが多い気がします。ステップ3から入ってしまうとプログラムで身に着けたKとSが宙ぶらりんになってしまうので、せっかくKとSをもっていても、リーダーになってこない人が出来てしまいます。

 

以上の3つのステップで地域のリーダー養成を考えてみてください。

~地域リーダー養成のためのプログラムつくりのための3ステップ~」への3件のフィードバック

  1. 自分はAの「心構え、気構え」は重視していましたが、バランスは必要ですね。ポートランドで「リーダシップのある人は自分では気づいていないけど、目立たないけど」「誰でも可能性がある」などなど、いろいろ学びましたが「なりたい人=リーダー」ではないことは実感です。
    「ないたい!」ではなく「想い」の強さ、それがどこを向いているかが大切なのかなと思いました。

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  2. 長岐孝生様、コメントありがとうございます。
    返信が遅れまして誠に申し訳ございませんでした。

    ポートランドで色々と学びを感じていただけたとのこと、とても嬉しく思っております。
    『想いの強さ』そして『それがどこに向いているか』。確かにBalance is keyですね。

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  3. ピンバック: ~多文化共生と市民リーダシッププログラム~ | JaLoGoMa Times

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