Legislative Advocacy 101〜ポートランド市が住民向けに「ロビイスト」になるための講座を開催〜

Legislative Advocacy 101〜ポートランド市が住民向けに「ロビイスト」になるための講座を開催〜

飯迫八千代・西芝雅美・Josh Metzler(著)

 

101 012015年12月3日にポートランド市が住民向けの「Legislative Advocacy 101」というイベントを開催しました。このイベントは住民が「ロビイスト」として政策や立法プロセスに効果的に意見を反映するための初級講座のようなものです。今回は、このイベントの内容を、参加した3名(飯迫、西芝、Metzler)の感想を交えながら紹介します。

このイベントはポートランド市の「渉外課(Government Relations)」以前JaLoGoMa Times でも紹介したONI (オフィス・オブ・ネイバーフッド・インボルブメント)と、ポートランド市議会議員(コミッショナー)アマンダ・フリッツ氏の事務所と協力して開催したものです。

このイベントの目的は、大きく分けて2つ。1つ目は、2016年度のオレゴン州議会と第115回連邦議会で取り上げられると思われる重要な議案を住民に周知する事。2つ目は州議会、連邦議会での審議に効果的に住民の意見を反映させるために住民にノウハウを提供することです。イベントは、連邦政府、州政府、市、そしてコミュニティ組織の代表者によるパネルディスカッション形式で、パネリストはモデレーターの質問に答える形でそれぞれの経験談を共有しながら、住民に政策立案プロセスをわかりやすく説明し、住民の関心事項を政策に反映させるためのヒントを話てくれました。

パネリストは以下の4名:

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    市役所のホールにてパネリストと参加者

    オレゴン州政府上院議員:エリザベス・ステイナー・ヘイワード氏

  2. ポートランド市コミッショナー(議員):アマンダ・フリッツ氏
  3. アメリカ連邦政府上院議員ジェフ・マークリー氏のフィールドディレクター:ジョネル・ベル氏
  4. CIO (The Center for Intercultural Organizing) – 異文化オーガナイジングセンター(移民主体の組織)エグゼクティブディレクター:ケイシー・ジャマ氏

 

モデレーター:渉外課エグゼクティブディレクター:マーサ・ペリグリーノ氏

住民が参加しやすくするための工夫

このイベントでは、政策立案プロセスにあまりなじみのない一般住民でも気軽に参加できるように、いくつかの工夫がなされていました。まずは開催日時と時間です。イベントを平日の夜6時から8時の時間帯で市役所のホールで開催する事で、ダウンタウンで仕事をしている人が仕事がえりに参加しやすくしていました。会場には、水やジュース、クッキーなどのお菓子が用意されていて、自由に食べながら、話を聴くといったインフォーマルな雰囲気作りがなされていました。また、手話とスペイン語の同時通訳が入って、難聴者や第一言語が英語ではない、ラテン系移民の方々に対するサービスも提供されていました。ちなみにONIは同時通訳機器をネイバーフッド会議などで必要な際は無料で貸し出しをしているそうです。

 

イベントの流れ

イベントはまずモデレーターがパネリストを紹介し、その後、今回会場にどういう人たちが参加しているのかを把握するためにいくつか質問をすることから始まりました。ざっと見回す限り、参加者は10代くらいの学生から70代くらいの方まで男女幅広く、合計80人弱いました。

モデレーターから参加者への質問は、「今まで自分の住んでいる地域の議員に会ったことはありますか」、「その議員に対してお願い事を申し出たことはありますか」や、「市議会や州議会が実際に開かれている現場を見に行ったことがありますか」など。今回参加していた方々の多くは、すでに何らかの形で議員や議会との接触を持っていた人々で、モデレーターも、「前回同じようなイベントを行ったときより、今夜は経験がある人たちが多いようですね」と言っていました。

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会場入り口で配布された資料

参加者の平均経験値を把握した後は、オレゴン州上院議員のエリザベス・ステイナー・ヘイワード氏がパワーポイントを使って15分ほど行政の構造や政策立案プロセスの簡単な紹介とよく使われる専門用語の説明などをしてくれました。その後、オレゴン州政府の職員から、州レベルの議員や委員会で議論されている法案がホームページにどう記載されていて、どこで情報を得ることが出来るのか、またどうすれば議会の様子をオンラインで生で見ることが出来るのか等の説明がありました。イベント会場の入り口に、法案が出来るまでの流れを分かりやすく絵で説明した資料や、オレゴン州やポートランド市議員の名前・Eメール・電話番号リスト、議員と話をするうえでどのようなコミュニケーションツールが効果的か等の資料も用意されていて、情報はとても豊富でした。

基本的な情報提供の後は、4人のパネリストに対してモデレーターがいくつか質問をする形で話が進められ、最後に参加者からの質問とデイスカッション時間が割かれてました。

 

住民ロビイストになるためのアドバイス

パネリストから住民ロビイストに対して様々なアドバイスが挙げられました。その中でも、特に印象的だった内容を箇条書きでまとめてみました。

<人間関係の大事さについて>

  • 議員は有権者の意見を重要だと思っており、だからこそ最初から有権者と共に解決策を考えたいと考えているはず。住民ロビイストは地域の先駆者として議員と共に前進するための機会を大切にしてほしい。
  • パッションを持って問題解決に取り組むことは大切であるが、仮に意見が合わなかった場合でも相手を尊重し礼儀を忘れないで接触することが大事。(議員も人なので怒鳴りあいの喧嘩になった人より、冷静に話し合いが出来る人と長いお付き合いをもとうとする)
  • 議員のスタッフや職員は重要。実際に物事を実行に移すのはスタッフであり、スタッフとの信頼関係を維持することが大切。
  • ネットワークを大切にすること。個人や小さな団体が単独では説得力が無いことでも、ネットワークを作り、協力して活動を展開することで、より効果がえられる。
  • ネットワークは一度途絶えてしまうと、修復が難しいので、継続してネットワークを維持する努力が必要。

 

<コミュニケーションの仕方について>

  • 議員と会う際、限られた時間内で自分のポイントをついて話をし、何を求めているかを明確に提示する事。また相手が話す機会を与えること。
  • 良い聞き役に徹すること。
  • 事前に下調べをきちんとしておくこと。
  • メディア報道を一方的に信じず、疑問に思ったら直接議員やスタッフに確認すること。
  • 知らないことを知らないと認めること。

パネリストのアドバイスは自身の経験を踏まえた具体的なとても説得力のあるものでした。

最後になりますが、このイベントを通して最も印象的だったことは、パネリストがオレゴン州レベルの議員から連邦政府レベルのスタッフ、市役所の議員やコミュニティ組織の代表者と多彩だったことです。この多様なパネリストのラインアップは主催者側に、出来るだけ幅広いアドバイスを多様なニーズを持つ住民に与えようという意図があったからだと思います。こうした機会を住民に提供することで、これからもポートランド市やオレゴン州が住民と協力してよりよいコミュニティや社会作りに貢献していこうという行政側の姿勢に感銘を受けました。

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