~多文化共生と市民リーダシッププログラム~

飯迫八千代・西芝雅美(著)

先に掲載した「地域リーダー養成のためのプログラムつくりに必要な3つのステップ(西芝雅美著)」のブログの中で、ポートランド市が提供する 多文化共生と市民リーダシッププログラム(Diversity and Civic Leadership (DCL) program)について触れましたので、今回はそのプログラムについてもう少し詳しく紹介いたします。

ポートランド市役所の中で住民参加を促進させるための部局として、多文化共生と市民リーダーシップ1Office of Neighborhood Involvement = ONI(オニと発音します)があります。ポートランド市内にある95のネイバーフッド・アソシエーション(近隣組合のようなもの)のスムーズな運営のサポートや、市内の落書きを消す活動、その他より良い地域つくりを目指した様々なプログラムを提供しています。(ONIの詳細は後日別の記事で紹介いたします。)

こうしたONIのプログラムの中でも近年注目を浴びているのがDCLプログラムです。DCLプログラムの目標は、地域社会に存在する有色人種や少数派グループや地域ベースの組織等の活力を養成し、市のガバナンスへの参加を推進することです。

多文化共生と市民リーダーシップ2DCLプログラムディレクターのジェリー・ウィリアムズ氏(Jeri Williams:写真)は、日ごろあまり市政に関心を示さない少数派のグループや有色人種の住民が、市で起こっている出来事に関心を示し、政治や事業の流れを理解し、市の政策プロセスに意見を出し、効果的に影響力を及ぼすことが出来るようにしたいのだとおっしゃっていました。具体的には、DCLプログラムが目標とする成果は下記の通りです。

  1. 参加者が市のガバナンスや権力構造を理解した上で、文化的背景を尊重しながらコミュニティのアイデンティティを構築するための行動をとる。
  2. 参加者が市の政策形成プロセスに参加できるよう、コミュニケーション構造を形成する。
  3. 市政の経済的、社会的公正性を向上させるために、参加者のリーダーシップを養成し、彼らが積極的・効果的に市政に参加できる様にする為の機会を提供する。
  4. 参加者が市の諮問委員会や、評議委員会、自治会などに参加し、効果的なリーダーシップを発揮できるよう育成する
  5. 参加者同士の多文化間のパートナーシップや協働で地域の問題を解決できるよう推進する。
  6. 市が事業を行うに当たって、文化的背景を尊重し、少数派グループに属する住民が安心して参加できるような成功事例を作りあげる。

こうした目標を達成するために、ONIは5つの組織と提携しDCLプログラムを提供しています。

  1. Immigrant and Refugee Community Organization-IRCO – 移民・難民コミュニティ組織
  2. Latino Network – ラテン系住民のネットワーク
  3. NAYA (Native American Youth and Family Center)- アメリカ原住民の若者・家族支援センター
  4. The Urban League of Portland – ポートランド都市同盟 (黒人主体の組織)
  5. The Center for Intercultural Organizing (CIO) – 異文化オーガナイジングセンター (移民主体の組織)

多文化共生と市民リーダシッププログラム3

DCLプログラムの提携組織の活動内容は多岐に渡ります。それぞれの対象グループごとに若い世代への教育から家庭内暴力被害者へのカウンセリング、ネットワークつくりのためのワークショップ、政治活動など、5つの組織がそれぞれいくつものプログラムを持っています。それぞれの提携組織の活動内容全てをここで説明するのは難しいのですが、幅広い分野でリーダーの育成を行っている事が想像できるかと思います。

またこれらの組織は、基本的には誰に対してもオープンで、誰もが参加できる形態をとっています。興味のある人、多様性をもっと学びたい人、友達を作りたい人、人の役に立ちたい人などをオープンにとり入れるところから始まり、その中で活動を続けていく中で生まれてくるリーダーがいて、そうしたリーダーをDCLプログラムでそっと後押しする事で、市政に影響を及ぼす市民が生まれてくるように思います。

「地域リーダー養成のためのプログラムつくりに必要な3つのステップ(西芝雅美著)」のブログの中でリーダー育成のためのKSA(Knowledge知識、Skill技能、Attitude心構え・気構え)という話がありましたが、ONIが提供しているDCLプログラムでは特に、AのAttitude(心構え・気構え)に力を注いでいるように思います。Attitude(心構え・気構え)に火をつけるのは、容易ではないかもしれませんが、住民組織と協力することで、なんとかして状況をよくしたい!という気持ちを持った人たちが集結して、リーダーがその中から生まれるのでしょう。ONIの職員の皆さんとジェリーさんはそうした住民の気持ちを縁の下で支えているのですね。

2015年4月9日のPortland Tribune (ポートランドトリビューン)という地元新聞でもONIのDCL活動に関して紹介されていました。詳しくはこちらをお読みください。

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