アワー・ユナイテッド・ビレッジ (Our United Villages) PART I

~ アワー・ユナイテッド・ビレッジ (Our United Villages)  PART I ~

(ジョシュ・メツラー&西芝雅美  著)

ポートランドに数多くあるNPOの一つ、アワーユナイテッドビレッジ(Our United Villages、以下OUV)は、商業開発が進む北ポートランドのミシシッピー通りにオフィスを構えています。

小さなお店やバーが並ぶミシシッピ通りーの一ブロックを占める二つの建物。

レンガ色の建物の入り口には「Our United Villages」のサインがあり、オフィスや会議室があり、コミュニテイー・レガシー・プログラム(Community Legacy Program)と呼ばれるOUVのコミュニティ活動を行うの拠点となっています。

もう1つの建物は少し趣きが異なり、建築資材や廃材を積んだトラックが出入りし、OUV1-1日中は多くの訪問客で賑わいます。ここはリ・ビルデイング・センター(ReBuilding Center)と呼ばれる建築資材のリサイクルショップで、OUVの運営資金調達源となっています。

2014年の夏に東京財団週末学校ポートランドプログラム(JaLoGoMa)の一環で、ここOUVのエグゼクティブディレクター、シェイン・エンデイコット氏 (Shane Endicott)(写真下)のお話を聞きながら施設を見学する機会がありました。今回はその時のお話をもとに、2部構成でOUVの紹介をします。

歴史

シェインさんは、1997年に他の3人ボランテイア有志とともに、地域の人たちがともに協力して使い古された資財を再利用することで地域をよりよくする活動をする場としてOUVを立ち上げました。

OUV1-2現在では35人の正社員と2000人強のボランティアスタッフがいて、毎日平均8トンの資材・廃材を回収し、年間10万人近くの人々が訪れるOUVですが、発足当初は今では想像もつかない苦労と努力を要したとのことです。地域の為に何かしたいという気持ちからNPOの立ち上げを決意をしたシェインさんは、まず他のNPOから失敗談や経験談を聞き集めることから始めました。その中で学んだのが資金調達の重要性です。多くのNPOが事業の拡張を図った結果失敗したり、活動拠点を無くし活動が出来なくなった経験を持っていました。シェインさんは、資金と拠点無しではNPOの活動は広まらず、長続きしないということを認識したそうです。そこで、OUVは資金調達に困ることなくコミュニティ活動に力を注ぐことが出来るモデルつくりを考えました。

まず、資金調達の為に、現在のリ・ビルデイング・センター(ReBuilding Center)のモデルとなる資材の回収・販売事業を始めました。当初はボランティアの自宅を拠点に活動していたため次々と集まる資材を保管する場所が足りなくなり、拠点となる施設を持つ必要性に迫られました。しかし資金が十分に無い状態で施設を手に入れることは難しく、では手が届くところから始めよう、とまずはオークションで安く購入した中古車を修理・改装し、資材回収・販売活動に力をいれました。

その結果、何と8ヵ月後には90万ドルを集めることに成功しました。施設の土地所有者が要求していた120万ドルには届かなかったものの、短期間でそこまで辿り着いたシェインさん達の努力と熱意、そして彼らの書いたOUVの意思表明書を読んだ土地所有者は彼らの熱意に動かされ、安価で施設・土地購入の合意に至りました。活動拠点を手に入れ、求めていた規模の施設を持つことでようやくOUVの長期的な活動資金の確保が可能となりました。

リ・ビルデイング・センター(ReBuilding Center)のプチ自慢話

OUV1-3ではOUVのリ・ビルデイング・センターは他のリサイクルショップとどう違うのでしょうか。施設の中に入ると、まずは資材の数とバラエティーの多さに驚きます。ドア、窓、ランプなどはもちろん、支柱となる大きな木材から壁や床のタイルなど小さなものまでがほぼ完全な状態で揃っています。洗面台やバスタブなんかもあります。普通はタイルなんかは家の解体時に壊れるはずですが、「私たちが行う解体は重機を一切使いません。全て手作業です。」とシェインさんは自慢げに説明されました。

OUV1-4建物の解体を手作業で行うというのはさすがのポートランドでもあまり聞いたことがありません。シェインさん曰く、手作業には数多くの魅力的なメリットがあるとのこと。一つは雇用創出。解体事業一つに6-8人の作業員を雇う必要が出てきます。また、くぎ抜き作業など割とシンプルで専門性を問わない作業が多い為、経験を問わずに多くの人々に雇用のチャンスが与えられるとシェインさんは言います。こうして雇われた人々は簡単な作業から少しずつノウハウを身につけ、中には独立して事業を立ち上げた方もいるそうです。近年、不況で失業者数が増加した北ポートランド地域において、このような雇用機会を創出する事業は直接地域の活性化につながります。

解体を手作業で行うもう一つの利点はゴミを削減し、同時に良質な資材を回収出来るという点です。解体を手作業で行うと、機械を使う場合と比べ必然的に作業が丁寧になります。木材も、釘一本一本手で抜けば、壊すことなく再び支柱や家具として使うことができ、タイルも壊さずに再利用出来ます。本来ならゴミとなってしまう資材にまで販売価値が生じ、同時にゴミを減らすことにもなります。エコとビジネスがこんなにも上手く両立出来るのは何とも魅力的です。

最後に、事業の安定性があげられます。手作業は時間のロスは多少あっても、事業コストは全体的に低く抑えることが出来るとシェインさんは言います。加えてゴミの量も抑えることが出来るため、建物の解体を依頼する顧客にとってメリットとなる要素が多く、安定した事業の依頼へと繋がっていきます。その結果、OUVの事業は安定し、資金調達に困ることなく本来の目的であるコミュニティ活性化のための活動に力を注ぐ事が可能となるのです。OUV’の運営資金は100パーセント、リ・ビルデイング・センターの収益で賄われています。

OUV1-5

では、次回、“アワー・ユナイテッド・ビレッジ (Our United Villages) PART II” では、OUVのコミュニティ活性化活動を紹介します。乞うご期待。

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アワー・ユナイテッド・ビレッジ (Our United Villages) PART I」への1件のフィードバック

  1. デメリットのない事業はないが、メリットがつながることで持続可能な事業になっていると感じる。
    「効率性」をどのように考えるのかがキーポイントになっていると思う。

    いいね

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